お話をお聞きしたのは
医療法人全人会 仁恵病院
事務部長 中島明宣様
ご提供した研修
・全職員対象医療接遇研修
お電話でのお問合せ06-7639-3888
昭和37年開院の、兵庫県姫路市の精神科病院です。接遇研修については、地域の事務部長が集まる会などで提供を受けた経験もあり、存在と必要性はかねてから知っておりました。精神科には数十年に渡る入院患者さまもいらっしゃいますし、ご家族のケアも欠かせません。特に、長期入院の患者さんとのコミュニケーションが馴れ合いになる傾向もありました。そのような中、スタッフの接遇に対してのクレームが寄せられることがあり、院内での指導では迅速な改善が難しいと考えたことが、仲内先生の研修導入のきっかけです。
今回の研修は看護部と事務部が対象で、約100名が接遇について学びました。
「接遇研修」には堅いイメージがありましたが、ワークではスタッフの興味を引く工夫もしていただき、知識だけではなく実際にスキルとして身に付く講義という印象を受けています。研修を通じて一番変化を感じているのが、スタッフの意識向上です。「接遇を気にしながら仕事をしよう」という意識が少しづつ根付き、 今まで自然とやっていたお辞儀なども、改めて必要性を考え実践する機会になっています。
研修では、止まってお辞儀する「停止礼」に焦点を当てていただきました。
患者や家族とすれ違うとき歩きながら「どうも」と会釈するのではなく、必ず一度立ち止まってお辞儀をする停止礼は、自分自身で意識をしないとなかなか実践できません。それが定着しつつあるということは、スタッフそれぞれが意識している証拠でしょう。
ただし定着にはまだ課題もあります。新型コロナウイルスの影響で研修が休みになった月がありましたが、やはり短期間でも意識が薄れていった感は否めませんでした。継続の必要性を感じています。
スタッフがこれまでの砕けた口調ではなく、研修で学んだ敬語で接するようになった時期、とある患者さんから「今までと同じように話してほしい」というお声をいただいたこともありました。
そのお気持ちは嬉しいのですが、やはり病院としては接遇レベルの向上が患者さまの満足度につながると考えています。そのときは患者さまに接遇研修のことをお伝えし、結果的に「そのような病院の方針はよいことですね」とご理解いただきました。
感謝とともに、「病院の考え方は間違ってはおらず、患者さまとの関係性は決して崩れない」という自信にもつながりました。
100名ものスタッフに同じレベルで接遇を浸透させることは、まだ完全にはできてはいません。私や看護部長の想いも、現場にもっと伝えていく必要があります。
特に入院歴が長い患者さまの多い部署では、新しい意識に切り替えるのが大変なのは私も理解しています。しかし病院は社会的に特別な職場ではありません。患者さまに向き合い、人と人の関係を築くという点では、他業種よりも深いホスピタリティが求められる場であります。
仁恵病院でも接遇レベルはまだまだ発展途中ですが、医療人として、社会人としてのホスピタリティを向上させるため、引き続きスタッフとともに研修に取り組んでいくつもりです。